毎朝、画面に表示される「いいね数」「登録者数」「保存数」。
昨日は「いいね12」、今日は「9」。
3件減っただけでも、手が震え、心臓が高鳴った。
数字に一喜一憂し、呼吸さえ苦しくなる。

そんなある朝、解析画面を閉じた指が、思わずDMアイコンをタップした。
そこにあったのは、一通のメッセージ。

「55歳・パート勤務です。
子育てを終え、もう一度人生を変えたいけれど、
ZoomもLINEも怖くて…
でも、“あなたの言葉”で勇気が出ました。
今なら挑戦できそうです」

新聞配達の合間、震える指で打たれた彼女の声に、私は涙がこぼれた。
数字じゃない、“人の声”こそが私の発信を支えていた。

それまでの私は、再生回数やCTR、保存数とにらめっこする日々。
「再生回数300」「CTR2.5%」の数字が動かないと、自分の存在が消え失せるようだった。

だが、本当に届けるべきは、あのDMの彼女のように、
「不安を抱えながらも変わりたい」と願う“リアルな一人”だった。

深夜、ノートを広げて書き出した。✍️

1. どんな瞬間にスマホを手に取る？

   • 健康診断で数字を見て落ち込んだ朝

   • 鏡に映る自分にショックを受けた夜

2. どんな言葉が背中を押す？

   • 「ZoomもLINEも、一歩ずつ学びましょう?」

   • 「完璧でなくていい。あなたのペースで大丈夫」

3. どんな瞬間に申し込む？

   • 「私にもできそう」と思えた直後

これが、私の“心の地図”――
属性や数字だけでなく、感情と行動の引き金を可視化したターゲット設計図だ。

次の投稿の冒頭には、こう書いた。
「鏡の自分に驚いた夜、勇気を出してZoomを押すあなたへ」

そして、誘導ボタンには✅マークを添え、
「▶️まずはここから、一歩だけ」に変えた。

すると……

「それ、私の気持ちです?」
「怖かったけど、申し込みました！」
「救われた気持ちになりました」

LINE登録が一気に増え、小さな奇跡が連鎖を始めた。

もしあのDMに気づかず、数字ばかり追っていたら──。
私はいまも「反応ゼロ」の檻に閉じ込められたままだっただろう。
だが、“たった一人”に寄り添う視点が、想像以上の未来を生んだ。