怖くても顧客像を絞れ──それが“選ばれる力”を最大化する唯一の方法
カレンダーが真っ白のまま埋まらない。
電話は一度も鳴らず、スマホの通知は静まり返っている。
「今日も予約ゼロか…」
その瞬間の胃の重さと、夜眠れない恐怖を、私は鮮明に覚えている。
アクセスはあるのに、申し込みはゼロ。
SNSには「いいね」がつくのに、誰も行動しない。
それはまるで、大きなホールで必死に叫んでいるのに、誰ひとり振り返ってくれない孤独のようだった。
盲点は「誰でも歓迎」
当時の私は信じていた。
「美容に関心のある人すべてに届けば、きっと来てくれる」
「広く発信すれば、間口が広がって集客できるはず」
けれど、その考えは幻想だった。
「美しくなりたい女性に」
「健康に関心がある方に」
──そんな漠然とした言葉は、誰の心にも届かない。
結果、アクセスは増えても、予約はゼロ。
広げれば広げるほど、逆に選ばれなくなっていった。
勇気を出して絞ったとき
怖さを押し殺して、私は顧客像をひとりに絞った。
40代で、更年期の不調に悩む女性
産後の骨盤ケアを求めているママ
肩こりでデスクワークに疲れ切った男性
たった一人を思い浮かべただけで、発信する言葉が変わった。
「疲れ切った夜、白いカレンダーを見て眠れない」
「産後の体型が戻らず、鏡を見るたびにため息をつく」
「肩こりで毎日、頭痛薬に頼っている」
──顧客像を鮮明にしたとき、言葉は具体的になり、心に刺さるメッセージが生まれた。
すると、不思議なことにアクセスは減ったのに、予約は増えた。
「これ、私のことだと思って」
そう言って来てくれる人が現れたのだ。
絞ることは小さくなることじゃない
多くのサロンオーナーは、顧客像を絞ることを恐れる。
「狭めたら、お客様が減るんじゃないか」
「誰かを排除してしまうのではないか」
その気持ちは痛いほど分かる。
私もかつて、恐怖に縛られて誰にも選ばれない現実に直面したからだ。
けれど真実は逆だ。
顧客像を絞ることは、あなたを小さくするのではなく、“あなたを必要とする人”に出会う最短ルートになる。
選ばれる力を最大化する唯一の道
「肩こり専門」
「産後ケア専門」
「敏感肌専用フェイシャル」
こうした具体性こそが、人の心を動かす。
顧客像を絞った瞬間、発信はただの情報ではなく、「自分ごと」になる。
怖くても絞る。
その勇気だけが、あなたを「選ばれる人」に変える。