顧客像を絞ったら常連まで消える?──その恐怖の裏に潜む真実
予約ゼロの白いカレンダー。
常連までも消えてしまうのでは、という冷たい恐怖。
電話は鳴らない。
通知も来ない。
サロンの空気がやけに静かに感じる日。
私は心の奥底で怯えていた。
「顧客像を絞ったら、あの常連さんまで来なくなるんじゃないか?」
「もし全員消えたら、私はどうやって生きていけばいいの?」
夜中、何度も目が覚め、スマホのカレンダーを開く。
予定は真っ白なまま。
胃が締め付けられ、息が浅くなる。
広く守ったつもりが、結局失った
恐怖に勝てず、私は「誰でも歓迎」と言い続けた。
「癒されたい方に」
「健康に関心のある方に」
「美しくなりたい女性に」
無難で優しい言葉。
誰も外さないように選んだ言葉。
けれど、結果は残酷だった。
投稿は流され、誰の心にも残らない。
広告は見られても、「自分のことだ」とは思われない。
新規はゼロ。常連の来店周期も次第に空いていく。
広げて守ったつもりが、誰も守れなかった。
常連が本当に求めていたもの
常連さんが通い続けてくれる理由は「合っていたから」だった。
肩こりで悩む人に合わせたケア。
敏感肌の人に合わせた商品。
産後の体型に悩む人へのメニュー。
「私に合っている」──その感覚が人を動かしていた。
そして、その感覚をより強めるのが「顧客像を絞る」ことだった。
絞った瞬間の変化
勇気を出して顧客像を絞った。
更年期の不調で悩む40代の女性。
育児で疲れ切った30代のママ。
長時間デスクワークに苦しむ会社員。
ひとりを思い浮かべた途端、言葉が具体的になった。
「白いカレンダーを見て不安で眠れない」
「産後の体型が戻らずため息をつく」
「肩こりで頭痛薬が手放せない」
そんな言葉が心に刺さったのだろう。
「まさに自分のことだと思って」と来店する人が現れた。
常連はどうなったか?
むしろ「やっぱりここが私の場所だ」と言って、通う理由を強めてくれた。
恐怖の正体
「顧客像を絞ったら常連が消える」という恐怖。
けれど、本当の恐怖は違った。
“誰にでも合う”と言いながら、誰からも選ばれない存在になること。
アクセスはあっても予約はゼロ。
常連すら守れない空虚なサロン。
これこそが、私が震えた夜の正体だった。
あなたへの問い
あなたのサロンのカレンダーはどうだろうか。
常連を守るつもりで、広げすぎていないだろうか。
顧客像を絞ることは、小さくなることじゃない。
常連を失うことでもない。
それは、あなたを「選ばれる人」に変えるための唯一の道だ。
そして、その勇気を持った瞬間に、
あなたはもう「予約ゼロの夜」とは決別できるのだ。