“お得”で動く人がいなくなった時代。残ったのは、“共感で買う人”。
「10月限定キャンペーン」──
その言葉を打ち込んだあと、投稿ボタンを押す指が止まった。
前は、この言葉でお客様が動いた。
「お得ですね」「今がチャンスですよね」と言ってくれた。
でも今は、反応ゼロ。
予約カレンダーは真っ白のまま。
夜、サロンの照明を落とす瞬間の静けさが、いちばん怖い。
私はその恐怖を隠すように、またキャンペーンを打った。
20%オフ、プレゼント付き、期間限定。
それでも、反応はゼロだった。
心のどこかでわかっていた。
“お得”の言葉が、人の心を動かす時代は終わった。
数日前、カフェで同業の女性が呟いていた。
「もう、“お得”って言葉に疲れたよね」
その一言に、胸が締めつけられた。
私たちはいつの間にか、「値引きで信頼を削る」ことをしていたのかもしれない。
その夜、スマホを開き、過去の投稿を遡った。
「先着3名様」「特別キャンペーン」「今だけ」──。
どれも、どこかで見たような言葉ばかり。
“私らしさ”なんて、どこにもなかった。
翌朝、私は初めて“本音”を書いた。
「最近、心が疲れている方が多いように感じます。
そんなときこそ、がんばらないケアをしてほしいんです。」
その投稿には、値段も、期間も、特典もなかった。
けれど、コメントがついた。
「読んで涙が出ました」
「まさに私のことです」
そして、その週。
3件の予約が入った。
人は“得”では動かない。
“分かってもらえた”で動く。
今は、“信頼”が通貨になった。
そして信頼は、共感からしか生まれない。
数字よりも、「この人は信じられる」と思えるかどうか。
その一点で、反応率がまったく違う。
私は今でも、迷うときがある。
「これで本当に売れるの?」って。
でも、思い出す。
“お得”で集まった人は、“もっとお得な場所”へ行く。
“共感”でつながった人は、
“あなたの手”を探して戻ってくる。
だから、もう値引きで戦うのはやめよう。
言葉で、温度で、信頼で、つながろう。
そして、もしあなたが今「発信しても反応がない」と感じているなら、
それは“冷たさ”のサインかもしれない。
少しでいい。
ほんの一言、温かくしてみよう。
たとえば──
「今日も、お客様の笑顔に救われました。」
それだけで、誰かの心が動く。
そしてそれが、次の予約の始まりになる。
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