?ハロウィンセールより怖い。“信頼切れ”が起こす予約ゼロのスパイラル
10月。街がオレンジに染まる。
ハロウィンの飾り、カボチャのランタン、SNSのタイムラインには「キャンペーン開始!」の文字。
あの日の私は、その熱に飲み込まれていた。
「私も何か仕掛けないと」「出遅れたら終わる」
焦る気持ちが、スマホの指先に伝わっていた。
でも──今だから言える。
あのとき始まったのは、キャンペーンじゃなくて“信頼切れ”だった。
“信頼切れ”。
それはまるでスマホの電池が切れるように、
音もなく、いつの間にか人の心が離れていく現象。
いいねの数は増えるのに、予約は減る。
アクセスはあるのに、売上は落ちる。
それはシステムのバグじゃない。
「あなたの投稿が、信頼を使い果たしたサイン」なんだ。
私もかつて、そうだった。
ハロウィン限定のキャンペーン投稿をした夜、
画面の中では“盛り上がっている”ように見えた。
でも、現実の予約カレンダーは、静まり返っていた。
その沈黙が何より怖かった。
投稿のたびに、「これで反応がなかったら…」と胸がざわつく。
SNSを開くたびに、他の人の“成功投稿”が目に刺さる。
寝る前までキャンペーンのアイデアを考え、朝起きても不安が消えない。
まるで、心まで電池切れのようだった。
常連のお客様から言われた一言が、胸を貫いた。
「最近の投稿、ちょっと焦って見えるんですよね。」
その瞬間、血の気が引いた。
“焦り”は画面の向こうに伝わる。
それが“信頼切れ”のはじまりだと知った。
私は、セールの文言をすべて削除した。
「限定」「特別価格」「キャンペーン」。
それらを捨てた代わりに、“声”を取り戻した。
──「こんな季節に、心も体も冷えやすくなりますね。」
──「お客様のこの言葉が、今日も励みになりました。」
──「あなたの疲れが、少しでも軽くなりますように。」
それが、最初の“充電”だった。
3週間後。
一通のDMが届いた。
「ずっと見ていました。やっぱりあなたの手にお願いしたいです。」
予約通知の音が鳴ったとき、涙が出た。
信頼は戻るのに時間がかかるけれど、
戻ったときには、売上以上の安心がそこにあった。
信頼とは、積み重ねた小さな「共感」の総和。
“お得”で動く人はいなくなっても、
“温度”で動く人は、まだ確かにいる。
ハロウィンの夜、街に明かりが灯る。
その光がどんなに派手でも、
最後に残るのは、静かに灯る一つの信頼のランプだ。
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