“秋の一言メッセージ”で翌日の反応が変わる理由
「今日も投稿したのに、誰も見ていない。」
スマホの画面を閉じる瞬間、
あの小さなため息が出た。
いいねは2件。コメントゼロ。
そのうち1件は、同業者の義理の「?」だ。
何も反応がないということは、
まるでこちらの存在が“空気”になったような気がする。
──見られていない、ではなく、感じられていないのだ。
10月。
暑さが和らぎ、空気が乾くこの時期。
実はSNSの世界も同じように“冷える”季節だ。
人の気持ちは季節に影響される。
秋は「内省」の季節。
人は新しい情報よりも、「自分の気持ち」に意識が向く。
だから、どんなに価値ある投稿をしても、届かない。
あなたが書いた言葉が“正しい”ほど、心に入らなくなる。
──これが、10月の恐ろしいところだ。
あるとき、私はそれに気づかず、
焦ってキャンペーンの投稿を繰り返した。
「秋の限定割引!」
「今だけのお得メニュー!」
「予約枠、残り3名様!」
だが結果は同じ。
反応は減り、DMも止まり、
まるで誰もいなくなったような感覚だった。
そのとき初めて思った。
“季節”が変わったのに、“言葉”が変わっていなかった。
次の日、
私は思い切ってトーンを変えた。
投稿したのは、わずか一行。
「急に朝が冷えてきましたね。お身体、冷やさないようにしてくださいね。」
それだけ。
商品の名前も、CTAもない。
正直、何の効果もないと思っていた。
でも翌日、DMが3件届いた。
「最近投稿が減ってたから心配してました」
「その一言で、なんだかホッとしました」
「私も冷え性なので、ストレッチ頑張ります!」
数字ではなく、“温度”が戻ってきた。
それでわかった。
お客様は“情報”ではなく、“空気”を感じている。
言葉の中に、季節の湿度や人の呼吸があるかどうか。
それが、「読まれるか」「流されるか」を分ける。
発信とは、売るための道具ではない。
“気配を届ける”ものだ。
10月というのは、まるで“信頼残高”の決算月のようなもの。
それまでの発信に温かさがあった人だけが、
この月に静かに“声をかけてもらえる”。
だからこそ、「秋の一言メッセージ」が効く。
たった一行でも、相手にこう思わせる。
「この人は、ちゃんと“見てくれてる”。」
マーケティングの教科書には載っていない。
でも、現場ではこれがすべてだ。
「伝える」より「感じさせる」。
「話す」より「気づかせる」。
そして何より、
「売る」より「寄り添う」。
秋は、売る季節ではない。
“信頼を温め直す”季節だ。
投稿をやめる必要も、無理して宣伝する必要もない。
ただ、朝の冷たい空気を感じたその瞬間に、
ふと思ったことを一行書けばいい。
「今朝の空、秋の匂いがしましたね。」
たったそれだけでいい。
なぜなら、人の心は“共感の温度”で動くから。
数字を追うより、
“感じ取る力”を取り戻すほうが、
ずっと早く売上は戻る。
沈黙の10月。
でもそれは、“心を閉ざす季節”じゃない。
“感じる発信”ができる人にとっては、
誰よりも静かに、
信頼が積み上がる季節なのだ。