松・竹・梅を並べただけで、反応が3倍になった日。
値下げボタンに指を伸ばした瞬間──画面の光が、妙に冷たく感じた。
「この金額じゃ、誰も来ないのかもしれない。」
静まり返ったサロンに、心の音だけが響いていた。
でも、私は指を止めた。
“値下げは、信頼を削る”──誰かの言葉が、胸の奥で微かに残っていたからだ。
その夜、私はノートを開いた。
「松・竹・梅の3段階にしてみよう。」
そう書いたのは、勇気というよりも“もう後がない”という気持ちだった。
・梅:3,000円(シンプルケア)
・竹:5,000円(人気コース+小さな特典)
・松:8,000円(プレミアム体験+フォロー)
3つのメニューを並べて投稿ボタンを押した。
何かが変わる気がして、同時に何も変わらないような気もしていた。
しかし翌朝。
「竹コース、気になります」
「松の特典って、どんなことをしてもらえるんですか?」
メッセージが、立て続けに届いた。
数字で言えば、反応率は前回の約3倍。
でも、それよりも心に残ったのは──“お客様の迷いが減った”という変化だった。
あとで調べてみると、人は3つの選択肢の中から“真ん中”を選ぶ傾向があるという。
極端に安いと「何か足りない」と感じ、
高すぎると「私には早い」と引いてしまう。
つまり、“安心して選べる真ん中”を作ることが、信頼の設計だったのだ。
そして気づいた。
私は、値下げで“信頼”を削っていた。
安くすればするほど、私は“自分を安く扱う人”になっていた。
? 「価格は、信頼の鏡。」
誰よりも、自分が自分の価値を信じていなかったのだ。
それからというもの、私は“松”を出すことを怖がらなくなった。
それは高額コースという意味ではなく、
「私が本気で提供したい価値を堂々と出す」という姿勢のことだ。
もちろん、すべての人が選んでくれるわけじゃない。
でも、それでいい。
誰に選ばれるかより、誰に選ばれないかが明確になること。
それが、信頼をつくる一歩だった。
売上が上がった日の夜、
私は画面を見ながら、静かに笑った。
「値下げしなくても、動くんだ。」
その瞬間、胸の奥に広がったのは、
“安堵”ではなく、“誇り”だった。
今、もしあなたが迷っているなら、
今日1つだけ、自分の“松”を決めてほしい。
それは特別なプランでも、高額商品でもない。
あなたが本気で信じられる価値の形。
それを出す勇気がある人だけが、
「安売りから信頼へ」という道を歩ける。
値下げではなく、信頼を積み上げる11月に。
今日の“ひと手間”が、12月の笑顔を決める。