新規0でも売上が伸びる人の共通点。
予約帳が真っ白になった日のことを、今でも覚えている。
静かなはずの店内で、時計の針の音だけがやけに大きく聞こえた。
“焦り”って、音になるんだと思った。
「このままじゃ、終わる」
そう感じた瞬間、私は“何かを足すこと”しか考えられなくなった。
広告を出し、LINEを送って、キャンペーンを打った。
けれど反応は、静かだった。
──ようやく気づいたのは、その沈黙の理由だった。
新しいお客様を探す前に、
“今までのお客様”との信頼を置き去りにしていた。
半年ぶりに、常連さんのLINEを開いた。
最後のメッセージは「また落ち着いたら伺いますね。」
その“落ち着いた日”は、訪れていなかった。
私は一通のメッセージを送った。
「お元気ですか?急に寒くなりましたね。
肩の調子、また出てませんか?」
売り込みではなく、ただの気づかい。
それだけだった。
でも返ってきた返信は、こうだった。
「ちょうど痛くなってたんです!タイミング良すぎてびっくりしました!」
たったそれだけで、
沈黙していた信頼が、息を吹き返した。
売上は、“信頼の速度”で決まる。
信頼には温度がある。
冷めたら、温め直せばいい。
けれど、放っておけば凍ってしまう。
凍った関係には、どんな広告も届かない。
焦って“拡散”するより、
“思い出される人”になる方が、ずっと強い。
あるセラピスト仲間が言っていた。
「最近、何も売ってないのに予約が埋まるのよ。」
その理由は、毎月の“ありがとうメール”だった。
「また行きたいな」と思わせるのは、
“割引”ではなく、“記憶”だ。
売れている人は、出すタイミングを競わない。
止まる勇気と、待つ信頼を持っている。
11月は、“思い出される季節”だ。
街も気温も変わる中で、
人の心は“懐かしいもの”に戻っていく。
もし、あなたが焦って新規を探しているなら、
いちどスマホを閉じて、過去のメッセージを開いてみてほしい。
そこに、
あなたの未来の売上が眠っているかもしれない。
あなたが最後に“思い出したお客様”は、誰ですか?
その名前を思い出せた瞬間、
もう一度、信頼が動き出す。