【危険】「思いつきキャンペーン」が招く、11月の“売上ゼロ連鎖”──救いは“目的の逆算”にあった。
夜の1時を過ぎていた。
パソコンの光だけが部屋を照らしていた。
11月の冷たい空気の中で、私は“キャンペーン案”のタイトルを10個も書き出していた。
でも、どれも薄っぺらく感じた。
「これでいいのかな?」
そんな疑念が、指先を止めた。
──この“なんとなく”が、一番怖い。
去年の11月。
私は“とりあえず何か出さなきゃ”という焦りから、
「冬のご褒美キャンペーン」を即席で打ち出した。
写真を撮り、投稿を作り、LINEを配信。
一見、仕事が進んでいるように見えた。
でも、結果は沈黙だった。
売上ゼロ。
予約ゼロ。
そして、静かに去っていく常連客。
そのとき私は初めて気づいた。
販促の失敗は、“何もしていない時”ではなく、“考えずに動いた時”に起きる。
なぜ11月が危険か?
それは“売れない兆候”が、まだ表面に出ていないからだ。
12月の忙しさの前に、
11月は“動かないこと”を正当化しやすい。
でも本当は、ここでの「思いつき販促」こそが、
年末の“静かな赤字”を呼び寄せている。
私はその後、販促を“逆算”するようになった。
最初に「目的」を書く。
それから「誰に」「何を」「どうしてほしいか」を明確にする。
最後に「どんな気持ちで終わってほしいか」を決める。
それだけで、迷いが減った。
あるとき、こう書いた。
「年末のあなたは、どんな顔で笑っていたいですか?」
この一文だけで、DMの返信が倍増した。
安さじゃなく、“未来の感情”を売るようになってから、
反応が変わった。
未来を先に描くことだ。
そして、
「逆算する人」だけが、時間を味方にできる。
“とりあえず動く”は、勇気じゃない。
“目的を決める”は、覚悟だ。
11月という静かな月に、
自分のビジネスの“温度”を測ってみてほしい。
何を売るかより、何を残したいかを決めること。
それが、年末を笑顔で迎える唯一の条件だと思う。
夜明け前。
パソコンを閉じる音が、やけに大きく響いた。
窓の外に差し込む光が、
次のキャンペーンタイトルを照らしていた。
──もう、“思いつき”では動かない。
あの静寂が、そう教えてくれたから。