【7日で変わる】感覚のセンサーを取り戻す“変化観察ノート”のすすめ。
サロンの窓を閉めると、
外の空気がひんやりしていた。
カレンダーを見たら、もう11月。
それだけで、胸の奥が少しざわついた。
最近、予約が減っている。
理由はわからない。
でも、なんとなく「空気が変わった」と感じていた。
──それを放置した結果、売上は20%落ちた。
美容・健康の仕事は、感覚の商売だ。
“変化に気づく力”がすべてだと言ってもいい。
肌の乾き、声のトーン、香り、空気の湿度。
ほんの1%の違いを見逃さないことが、
お客様の信頼につながってきた。
けれど、自分のビジネスの変化には不思議と鈍感になる。
「最近、リピートの間隔が空いたな」
「DMの返信がちょっと遅い気がする」
そんな小さな違和感を“ただの気のせい”で片づけていた。
でも、あのときの私は、確かに感じていた。
“風向きが変わった”ことを。
あの日の夜、
サロンのライトを消してから、静かな部屋でノートを開いた。
ページの端には、うっすらとインクの跡。
前に何かを書いて、そのまま放置していたページだ。
「最近気づいたこと」とだけ書いて、ペンが止まっていた。
そこに改めて書き足した。
・Aさんの再来が1週間遅れた
・Bさんの返信が短くなった
・投稿への反応が3割減った
たった3行。
でも、書いているうちに、
私は“鈍っていた感覚”が少しずつ戻っていくのを感じた。
それから1週間。
毎晩、3つだけ“いつもと違うこと”を書くようにした。
「変化観察ノート」と名前をつけた。
7日目の夜、ノートを見返してみてハッとした。
「私の中で、こんなに変化が起きていたのか」と。
最初は“お客様の変化”を書いていたはずが、
次第に“自分の変化”も書くようになっていた。
「今日は施術中の沈黙が怖かった」
「売上のことを考えると、笑顔が引きつっていた」
その気づきこそが、
私の売上を止めていた本当の原因だった。
数字が落ちる前に、必ず“空気”が変わる。
その変化に気づける人だけが、冬を越える。
お客様が離れる前には、
心の温度が確実に下がっている。
返信が遅くなる。
語尾が短くなる。
「またお願いします」の絵文字が減る。
これを“たまたま”と見逃すか、“サイン”と受け取るか。
そこに分かれ道がある。
ある日、久しぶりにAさんから予約が入った。
私は迷わず、メッセージを送った。
「最近、どうされていますか?」
返ってきたのは意外な言葉だった。
「ちょうどまた行きたいと思ってたんです。
でも、忙しそうだから連絡しにくくて。」
その瞬間、胸が熱くなった。
気づくこと、声をかけること。
それだけで人との関係は動き出す。
変化観察ノートは、売上を増やすためのノートではない。
“人との関係を守るためのアンテナ”だ。
1日3つ、7日で21個。
気づいたことを書くだけで、
自分のセンサーは再起動する。
私が試したとき、
その週のLINEからの問い合わせは2件復活した。
投稿へのコメントも、少しずつ増えた。
何より、心の温度が戻った。
11月の乾いた空気は、
油断した人から順に“関係”を奪っていく。
見えない乾燥に気づける人が、
次の春を迎えられる。
もし今、
サロンが少し静かだと感じているなら、
スマホを置いて、ノートを開いてみて。
そして1行でいい。
「今日、感じた小さな変化」を書いてみてほしい。
その1行が、
来月の予約を埋める“最初の呼吸”になるかもしれない。
あなたのセンサーは、まだ眠っていない。
少しの静けさとペンの音で、
必ず目を覚ます。