【売れる人だけが知ってる】返信率が3倍になる“12月特有の一言”とは?
気づいたのは、去年の12月14日の夜。
店じまいしたサロンの空気が、やけに冷たく感じた。
暖房をつけているのに、肩のあたりだけひんやりする。
…いや、それは空気のせいじゃなくて、私の心の温度だった。
予約表の「空欄」が、まるで穴のようにぽっかり空いていた。
12月なのに、だ。
本来なら一年でいちばん埋まる時期なのに。
その瞬間、胸がつん、と痛んだ。
「なんで…誰も来ないの?」
努力は全部やってきた。
投稿も、キャンペーンも、企画も。
“やれば埋まる”と信じていた。
でも現実は、
信じたまま動かないままだった。
その夜の沈黙は、今でも忘れられない。
サロンの鏡に映る自分が「来年も同じなの?」と言っているみたいだった。
そんな時だ。
美容系の先輩が、電話越しに静かに言った。
「空いてる時ほど、“埋まり始めてきたので” を使うんだよ」
最初は耳を疑った。
「え?埋まってないのに?」
正直、小さな罪悪感さえあった。
けれど先輩は淡々と続けた。
「満席なんて言わなくていいの。
“動いているサロン”にだけ人は反応するから」
その言葉が胸の奥に落ちていく感覚がした。
まるで「これ、ずっと分かっていたはずなのに、見ていないフリしてたでしょ?」と指摘されたような、不思議な痛みだった。
翌日、震える手で1通のメッセージを送った。
「埋まり始めてきたので、先にご案内だけ送りますね」
たったこれだけ。
たった17文字。
でも送信ボタンを押した指先に、妙な緊張が走った。
返信が来なかったらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。
“売り込んでる”って思われたらどうしよう。
五分後、スマホが震えた。
「早めに予約したいです!」
そんなメッセージが届いた。
さらに五分後。
さらに三十分後。
その日だけで、8件の予約が入った。
震えた。
そして気づいた。
12月の人間心理は、他の月と違う。
・「今年最後に整えたい」
・「年内のうちに終わらせたい」
・「どうしよう、間に合わないかもしれない」
この“焦りのスイッチ”が入っている。
だから、
“動き出してる人”に予約が殺到する。
これは、残酷だけど揺るぎない事実だった。
心理学的に見ても、この一言は理にかなっている。
◆12月特有の心理
「みんなが動いているなら、私も動かなきゃ」
という集団行動本能が強く働く。
◆人は“満席”ではなく“埋まり始め”に反応する
満席は「もう遅い」
埋まり始めは「私もまだ間に合う」
◆行動の理由を相手に渡してあげられる
「埋まり始めてきたので」は売り込みではなく
“あなたのために言っている”に変わる。
この3つが一気に作用するのが、
12月だけなのだ。
去年の私は、この一言を言えなかったせいで、
本来入るはずの予約をどれだけ失ってきたんだろう。
人は
“あなたの予約が空いている”ことすら知らない。
“あなたが困っている”ことも分からない。
“あなたが動き始めている”ことにも気づかない。
伝えていないからだ。
だから、選ばれないんじゃない。
ただ、材料が渡されてないだけ。
私はあの夜、鏡の中の自分に
「動き出してないように見えてたよ」
と言われていたのだと思う。
今年。
もし今あなたの予約が止まっているなら。
あなたがそのメッセージを送る瞬間を、
去年の私がそばで見ている気がする。
そしてきっと、こう言う。
「怖くても、伝えてみて。
あなたが思ってるより人はあなたを必要としてるから」
たった一言で、12月は動き出す。
あの沈黙のサロンが、一気に年末の熱を帯びていく。
「埋まり始めてきたので──」
あなたの12月が、
今日から静かに変わり始める。