冷たい空気って、こんなにも心の奥まで刺さるものだっただろうか。
窓を開けた瞬間、頬に触れた風があまりにも冷たくて、思わずスマホを握る手が震えた。

でも、本当に冷たかったのは空気じゃなくて——

今日も「返信ゼロ」のLINE管理画面だった。

白い数字の“0”が、まるで私の胸の内を見透かすように、
静かに、痛く、そこに存在していた。

最近、この画面を見るのが怖くなってきている。
まるで、売上ではなく“自分の価値”まで否定されたような気がしてしまうから。

だけど、この朝。
私は、ふいに気づいてしまった。

——ああ、これは私だけの問題じゃない。

12月って、“反応が止まる季節”なんだって。

ある日、同じように反応が止まって困っていたサロンオーナーの方に言われた。

「12月って、本当に誰も返してくれなくなるんです…
　もう嫌われたのかと思って。」

その言葉を聞いた瞬間、私は胸がぎゅっと痛くなった。
だって、私も去年、同じことを思ったから。

でも今年。
私はようやく気づいたんだ。

12月に返事がないのは“あなたが悪いから”じゃない。
“読み手の心が固まっている”からだ。

そして、この“心の固まり”こそが、12月の最大の落とし穴だった。

12月の人って、
「忙しい」んじゃなくて、
「決めることが多すぎて心が固まっている」んだ。

・仕事の締め
・家族のこと
・年末の予定
・買い物
・大掃除
・来年のこと

どれも「自分が決めないといけないこと」ばかり。

その結果、心の余白がゼロになる。

だから、たとえあなたのメッセージが素敵でも、
相手の心は“受け取る準備が整っていない”。

なんて残酷なんだろう。

でも、もっと残酷なのは…

心が固まっている相手に「決めてください系メッセージ」を送ってしまう人が、
12月に最も予約を落とすという事実。

・「年内にいかがですか？」
・「まだ空いてます！」
・「ご予約受付中です！」

これらは全て、相手の“決める負担”を増やしてしまう。
だから反応が止まる。

去年の私は、それに気づかずガツガツ営業メッセージを送り続けて、
“誰からも返事が来ない地獄”を味わった。

返信画面を何度も更新しながら、
「…私、嫌われた？」
と、本気で思った夜もあった。

でも後からわかった。

嫌われていたんじゃない。
相手の心が“凍っていた”だけだった。

じゃあ、“凍った心”をどう溶かせばいいのか？

——鍵は、「冬にだけ効く一言」にあった。

ある日、疲れきった気持ちで、私はメッセージの入力欄にポツリと打ち込んだ。

「最近、お疲れ出てませんか？」

それだけ。

売り込むわけでもなく、予約の話をするわけでもなく、
ただ相手を“1人の人間として”気遣う一言。

すると、何ヶ月も反応がなかった相手から
たった10分で返信が来た。

「覚えてくださってたんですね…
実は最近いろいろあって…」

その瞬間、私はハッとした。

心が固まっている時に必要なのは、
売り込みじゃなくて“心がほどける一言”だったんだ。

冬の人は、孤独に敏感だ。
そして、優しさにもっと敏感だ。

だから、冬の最初のメッセージはこれでいい。

・「急に寒くなりましたね、体調崩されてませんか？」
・「気づけば年末ですね…無理されてませんか？」
・「お忙しい時期だと思うので、ご返信はお気になさらず…」

これだけで、返信率は本当に劇的に変わる。

なぜなら、
“心がほどけてからしか、予約は動かない”から。