予約ゼロの12月を変えるのは、セールじゃなく“棚卸しさせる文章”だった。
カレンダーだけが12月に変わっても、
予約表はまるで冬眠しているみたいに静かだった。
その静けさを見つめていると、
部屋の温度が下がったわけでもないのに、
背中の方からスーッと冷たいものが流れてくる。
あの感じが、私は一番怖い。
「このまま今年が終わるの……?」
そんな声が、誰かに聞こえるくらい大きく胸の中で響いた。
だから私は“やってはいけないこと”をやった。
年末セールだ。
「お得ですよ」「今だけ◯%オフ」
そんな言葉を必死で書いた。
でも、反応はゼロだった。
むしろ、いつもより静かだった。
このとき初めて気づいた。
年末は“売られる”ことに、みんな疲れている。
■ 年末に売れないのは、文章が弱いんじゃない。「心が疲れているから」だった
12月、人はみんな内側へ潜る。
“今年の振り返り”という名の、静かな棚卸しが始まる。
・何を頑張った?
・どこで崩れた?
・誰を優先して、自分は何を後回しにした?
・心と体は、結局どれだけ無理を重ねた?
この棚卸しが始まっているときに、
「セールです!」と押し込まれると、
心は一気に固まる。
“ごめんなさい、今は考えられない…”
これが本音だ。
私はその本音に気づかず、
ずっと逆方向へ力いっぱい進んでいた。
■ 本当に怖いのは「見込み客が疲れていることに気づかない」ことだった
ある日、私は初めて文章の冒頭を変えた。
「今年、あなたが一番我慢したことはなんですか?」
この一文を送った数分後、
あれほど静かだったスマホに通知が鳴り始めた。
「自分の時間を全部家族に使ってしまって…」
「体が重いのに、見ないフリしてました」
「本当はケアしたかったんですけど、後回しで…」
涙ぐみながら読んだ。
一年分の“しんどさ”を誰にも言えずにいた人たちが、
この一文をきっかけに、心を開いてくれた。
そのとき私は理解した。
年末は“売る月”じゃない。
心をほどく月だったんだ、と。
■ “棚卸しさせる文章”は、売り込みゼロで行動を生む
私はいつも、年末の文章にこの3つの問いを入れるようにしている。
① 今年、あなたがいちばん後回しにしたことは?
② 見て見ぬふりをした心や体のサインは?
③ 年内にひとつ整えるなら、どこを優先しますか?
この問いを読んだ人は、
自分の中にある“行動理由”を自分で思い出す。
だから売り込みゼロでも、
「予約したい」と自然に言い出す。
行動のスイッチは、外側から押すものじゃない。
内側から、自分で押してもらうものだった。
■ 具体例:あるお客様の“ひとこと”が忘れられない
いつも無反応だった方から、
久しぶりに返ってきたメッセージがある。
「先生、今年は自分の心を放置しすぎて、もう限界です。
年内に一度ケアさせてください。」
私は震えた。
セールでは動かなかった人が
“たった一言の棚卸し”に、心ごと反応した。
こういう瞬間を何度も見るたび、
確信は強くなっていった。
■ 売れる人は、「商品」ではなく「心の未処理」を先に扱っている
あの頃の私は、
商品の説明から書き始めた。
でも今は順番が違う。
商品 → 心
ではなく、
心 → 商品
人間の行動は、説明では動かない。
“自分の痛みを言葉にできた瞬間”に動く。
文章の順番を変えただけで、
反応はまったく別物になった。
■ 年末の“静かな成功者”は、「寄り添う文章」を持っている
年末の見込み客は、
疲れていて、
自分に厳しくて、
今年をどう受け止めたらいいか迷っている。
そこで必要なのは、
強い言葉でも、安売りでもない。
ただひとつ。
「今年のあなたは、どうでしたか?」
と、そっと棚卸しを促す文章だけだった。
これが、
予約ゼロの12月を変えた“たった一つの鍵”だった。