「このまま1月を迎えると危ない」──読者が緊急で読みたくなる“安心材料の渡し方”

2025/12/23

薄暗いサロンの待合室で、電気ストーブの赤い光だけが静かに床を照らしていた。
外の気温は急激に下がり、窓ガラスには白い息の跡が残っている。
その冷たさの中で、私は、誰も埋めてくれないままのカレンダーの“空欄”をただ見つめていた。

年内の予約はゼロ。
そして、もっと残酷なのは「1月も空白」という事実だった。

──その瞬間、胸の奥で何かが軋んだ。

怖かった。
でも、その理由を当時の私はまだわかっていなかった。

本当に危険なのは「売上がないこと」じゃなかった。
もっと静かで、もっと見えにくい“恐怖”が、読者の心の中で膨らんでいた。

■ 12月は、読者の「未来へのイメージ」が壊れやすい

12月という月は、どうしてここまで人の心を弱らせるのだろう。

疲れ、忙しさ、気温の低下。
家族の予定、仕事の締め切り。
そして、“今年できなかったこと”が突然胸を刺してくる。

その全部が積み重なると、人は 「どうせ同じことを繰り返す」 と未来に蓋をしてしまう。

投稿をしても既読無視。
いつものお客様に声をかけても返信が返ってこない。

でもそれは、あなたの技術でも文章でもなく、
「相手が未来を想像できない状態」になっているだけだった。

■ 値引きでは、絶対に動かない

かつての私は、ひたすら割引の投稿ばかりしていた。

・今年最後の特別価格!
・年末限定キャンペーン!
・今だけ◯%オフ!

しかし、反応は冷たかった。
まるで真冬の空気のように。

理由は簡単だった。

人間は、不安が残っている状態では“お得”より“安全”を優先する。

だから、いくら値段を下げても動かない。
むしろ逆効果になっていた。

■ ある日、たった一文だけ変えた

その日、私は何気なく文章の書き方を変えた。

安売りをやめて
「安心材料」を渡した。

たった一文、こう書いたのだ。

『年内が難しければ、1月前半でも大丈夫です。
無理のないタイミングを一緒に決めましょうね。』

ただそれだけ。

でも、この一文で流れが変わった。
ずっと既読スルーしていた人から返信が返ってきた。
中には「もう今年は無理だと思っていたんです」という声まであった。

私はその時やっと理解した。

読者は「決断したい」のではない。
“安心したい”のだ、と。

■ 「安心材料の渡し方」を間違えると、動かなくなる

ただし、安心材料は諸刃の剣でもある。

私も失敗した。

良かれと思って言った言葉が
「じゃあ別に急がなくていいや」
と相手にブレーキをかけてしまう。

例えば、

・タイミングが合えばぜひ
・無理のない範囲でどうぞ
・また余裕ができたらお声かけください

優しいように見えて、読者の未来イメージをぼやけさせてしまう。
行動の“締め切り”が消えると、人は必ず後回しにする。

■ 読者がすぐ動いた“3ステップの安心材料”

私が今、最も効果を感じているのはこの3つだ。

★① 読者の不安を代弁する

『12月は本当に予定が読めなくなりますよね。』

代弁されると、人は「理解されている」と感じる。

★② 明確な逃げ道を提示する

『年内じゃなくても、1月前半でゆっくり調整できます。』

「後回し」ではなく「選択肢」として示すことが大事。

★③ 行動を一歩だけにする

『まずは空いてる日を2〜3日だけ教えてくださいね。』

“行動の小ささ”を作ると、人は驚くほど動きやすくなる。

■ 1月の予約ゼロで迎える“静かな破壊”

1月のカレンダーが白紙のまま年明けを迎える。
これは、ただの売上問題ではない。

・自己否定
・投稿の弱気化
・行動量の低下
・悪循環の長期化

精神面を直撃し、2〜3ヶ月は立て直しが難しくなる。

だからこそ、12月の“今”、
安心材料を渡せる人が、次の年を制する。

■ 最後に

もしあなたも今、
白紙のカレンダーを眺めて、
胸がざわつく瞬間を感じているなら。

それは、あなたの投稿の質の問題ではない。
スキルでも、センスでもない。

ただ、読者に
「安心して選べる未来」を渡していなかっただけ。

たった一文で、人は動き出す。
たった一文で、未来を想像できるようになる。

そしてその一文は、
あなたが思っているより、ずっと優しいものでいい。

プロフィール

黒岩倖光(くろいわ ゆきみつ)

テクノロジーセラピスト
⚫︎やっていること
AI・スマホ・タブレット・パソコン活用指導
WEBマーケティングコンサルティング
社長の頭に汗をかくマーケティング勉強会
個人商店・医院・サロン向けショート動画・ライブ配信支援
⚫︎こんな人に届けたい
アイデアはあるがどう伝えれば良いかわからない
良い商品を扱っているのに、なかなか売れない
人前に出て自分を売り込むのが苦手だ
儲けることに罪悪感があって行動ができない
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