怖いほど効果が出る。“値下げしないのに選ばれる人”が必ずやっている1つのこと
予約表の空白を眺めたあの日のことを、いまだに忘れられない。
スマホの光だけがぼんやり部屋に落ちて、私は何度も「値下げ」の文字を打っては消した。
わかっている。
値下げは一瞬、反応が出る。
だけど一度でも“安さで選ばれる側”に回ったら、もう戻れない。
その怖さも知っていた。
それでも指が震えたのは、
売上ゼロの12月を前にすると、人間は冷静ではいられないからだ。
そんな時、私はある人の投稿に出会った。
その文章には、値下げも特別な技術の話もない。
なのに──
コメント欄には「お願いします!」「私も予約したいです!」
と途切れなく並んでいた。
何が違うのか。
私は気づいた瞬間、ゾッとした。
選ばれている理由が「商品ではない場所」にあったからだ。
■ 値下げしないのに選ばれる人の共通点。それは……
その人は、投稿の冒頭でいつも“ある一言”を添えていた。
「読んでくれるだけでも十分ですよ。
あなたのペースで大丈夫です。」
それだけの文章なのに、読む側の緊張がすっと抜けていく。
他にも、
「無理に申し込まなくて大丈夫です」
「必要なタイミングが来たら、それで十分」
「今日は、少しだけあなたの悩みを整理してみませんか?」
こんな言葉を、商品説明より先に置いていた。
その瞬間、私は理解した。
人は、“売り込まれる”ことより、“判断を迫られること”を怖がっていたのだ。
どれだけ良い商品でも、
どれだけ丁寧に説明しても、
心のガードが立っている状態では届かない。
だから選ばれる人は、最初にガードを外してあげていた。
■ 実際に、こんなことがあった。
あるお客さまが言ってくれた言葉がある。
「施術は好きだったんです。でも、話すたびに“次もどうですか?”って空気を感じてしまって…。
申し込む前提みたいな雰囲気が、だんだん苦しくて。」
これを聞いた瞬間、私は背筋が冷えた。
離れていった理由は、
技術でも価格でも、競合の存在でもなかった。
“安心できなかったから”。
つまり──
安心不足は、値下げ以上に人を遠ざける。
逆に言えば、
安心を渡せる人は、どれだけ価格が高くても選ばれる。
■ SNSでも“安心”は伝えられる
これは対面だけの話ではない。
むしろSNSでは、文章での安心がもっと強く効く。
たとえば、
「読むだけでも嬉しいです」
「あなたのタイミングを大切にしています」
「まずは、今どんな状況か聞かせてください」
こういう一言が付いていると、
投稿全体の温度が変わる。
読者は「この人は売り込み目的じゃない」と感じる。
その瞬間、心のドアが“少しだけ”開く。
そしてその隙間に、あなたの言葉がすっと入っていく。
これこそ、値下げしないのに選ばれる人の正体だ。
■ 値下げではなく、“安心”が価格を超える
私は最近、投稿の最後に必ずこう書くようにしている。
「必要なときに、必要なだけ受け取ってください。
焦らなくて大丈夫です。」
驚いたことに、この一文を入れるようになってから
反応率が目に見えて変わった。
人は“安心していいよ”と言われると、
逆に近づいてくる。
言葉ひとつで離れてしまうこともあれば、
言葉ひとつで救われる人もいる。
だから私は今日も、自分に問い続けている。
私は、お客さまに安心を渡せているだろうか。
文章でも、接客でも、メッセージでも──
無意識に緊張を与えていないだろうか。
価格ではなく、
安心で選ばれる人でありたいと
心から思う。