売れないのは“今年の悩み”を語っているから。売れる人は“来年の後悔”を語る。
売れないのは“今年の悩み”を語っているから。
売れる人は“来年の後悔”を語る。**
静かな12月の夜だった。
投稿をアップしても通知が鳴らず、画面に浮かぶのはただの無音の世界。
まるで冷蔵庫の奥に置き忘れられたタッパーみたいに、誰にも触れられていない。
そのとき、不意に背中を冷たいものが撫でた。
「もし私の発信が、このまま誰の心にも触れずに今年が終わったら…?」
その想像だけで、胸がじわっと痛んだ。
気づいたのは、恐ろしくシンプルな法則だ。
“読者は今の悩みでは動かない。
来年の後悔で動く。”
例えるなら――
「肩こりがつらい方へ」では、人はスクロールを止めない。
でも
「その肩こりのまま、また来年を迎えて大丈夫ですか?」
と言われた瞬間、心のどこかがギュッと縮む。
なぜなら、
人は“未来の痛み”だけは避けようとするから。
それが分かるまでに、私はずいぶん遠回りをした。
あるお客様がこう言った。
「12月は忙しいので、1月に入ってから考えますね」
その言葉が耳に残って離れなかった。
“来年から”という響きは、一見前向きだけど、実際はただの先延ばし。
そして先延ばしの裏側には、
「いまは動きたくない」
「でも、後で困るのはわかってる」
そんな小さな罪悪感が潜んでいる。
私はその“罪悪感の芽”に触れられていなかった。
だから反応されなかったんだ。
本当に書くべきは、今年の悩みではなく、
“来年どんな後悔をしそうか”という問いだった。
・また気づいたら一年が終わってしまうかもしれない。
・来年の忙しさに呑まれて、もっと自分のことが後回しになるかもしれない。
・“今年と同じ”どころか、疲れが積み上がった状態で新年を迎えるかもしれない。
そうした“未来の影”を静かに示した瞬間、
文章に吸い込まれるように人は動き出す。
実際、文章をこう変えたら返信率が跳ね上がった。
「1月から本格的に忙しくなる前に、いま少しだけ整えておきませんか?」
「来年のあなたをラクにしてあげるために、今年のうちにできることがあります。」
「未来の後悔は、いまならまだ避けられます。」
すると、こんな反応が届いた。
「これは、刺さりすぎました。」
「来年また同じ気持ちを味わうのが怖いです…」
「このタイミングで言われると、確かに考えさせられますね。」
読者は“今”では動かない。
もっと先を見ている。
もっと先を怖れている。
もっと先を変えたいと思っている。
だから、売れる人は知っている。
行動を促すのは「未来の後悔」と「未来の安心」のセットだということを。
サービスの前に、「来年の私」を照らしてあげる。
その順番を守るだけで、文章は驚くほど力を持ちはじめる。
もし今、投稿しても反応が返ってこないなら、
それは文章が弱いのではなく、
未来を見せていないだけ かもしれない。
読み手の心は、いつも“来年”にいる。
そこにそっと手を伸ばせる人が、選ばれる。