深夜2時のパソコン作業が、あなたの寿命を縮める。売れてる治療家が絶対に口外しない「コピペ集客」の裏側
網膜を焼くブルーライトの不快な熱さだけが、生きている証拠だ。 手元には、泥水のように冷え切ったコンビニコーヒー。
僕はさっきから30分もの間、たった一行の文章を書いては消し、書いては消しを繰り返している。
「腰痛 原因 ストレッチ」
これから検索するであろう、顔も知らない誰かのご機嫌を取るために、僕は自分の寿命を削ってブログを書いている。
笑えない、ブラックジョークだ。
昼間、白衣を着た僕は患者にこう言う。「睡眠こそ最強の治療ですよ」「自律神経を休めましょう」。 なんて優しい、そしてなんて欺瞞に満ちた顔だろう。 「健康のプロ」を名乗る男が、深夜のオフィスで寿命の前借りをしているなんて、口が裂けても言えない。
ふと、背筋が凍るような想像が脳裏をよぎる。
もし今、この椅子から立ち上がった瞬間に、僕の脳血管がプツンと切れたら?
救急車のサイレン。薄れゆく意識。 走馬灯の中に、家族の顔は出てこない。
出てくるのは、明日の朝9時に予約を入れている佐藤さんの顔だ。 「誰がキャンセルの連絡をする?」「回数券の返金手続きは?」「テナントの更新料は?」
そして、残酷な事実が遅れてやってくる。 僕がICUのベッドに縛り付けられた瞬間、来月の売上は「ゼロ」になる。 完全に、1円も残らず、ゼロだ。
僕が誇りを持っていた「ゴッドハンド」は、僕が倒れた瞬間、ただの動かない肉の塊になる。 僕の治療院はビジネスじゃない。 ただの「労働集約型の地獄」だ。 止まれば死ぬ。回し車の中で死ぬまで走り続けるハムスターと、僕は何が違うんだ?
その時、SNSのタイムラインに流れてきた広告が、ひどく魅力的に見えた。 『コピペで集客』『テンプレートで自動化』
以前の僕なら、軽蔑していただろう。 「手抜きだ」「治療家なら魂を込めて自分の言葉で書け」「患者への冒涜だ」と。
だが、深夜2時の絶望の中で、僕は気づいてしまった。 本当に「患者への冒涜」をしているのは、どっちだ?
つまらないプライドに固執し、過労で倒れて、患者を路頭に迷わせる僕か。 それとも、プライドを捨てて「成功者の型(コピペ)」を使いこなし、自分がいなくても回る仕組みを作り、万全の体調で患者を迎え入れる彼らか。
「コピペ」は手抜きじゃない。 それは、生存するためのシェルターだったんだ。
職人のこだわりなんて、家族を路頭に迷わせる言い訳にしかならない。 そう認めたくなくて、僕は今まで耳を塞いでいた。
画面の中のカーソルが、心停止した心電図のように点滅している。
僕は震える指で、今まで軽蔑していたその「禁断のボタン」に、マウスを近づけていく。 プライドと一緒に心中するか、泥臭くても生き残るか。
選ぶべきは、もう決まっている。