「金儲けは汚い」と信じるあなたへ。貧乏で誠実な治療家より、稼ぐ“不誠実”な治療家の方が、結局多くの命を救える残酷な理由。

2026/02/04
【危機:崩壊の雨音】濡れた路上での絶望的な転倒

消毒用エタノールの匂いが染み付いたこの手が、私は好きだった。

朝から晩まで立ち尽くし、指の関節が悲鳴を上げても、 目の前の患者さんが「楽になった」と笑ってくれるなら、それでいい。

汗水垂らして働くことこそが尊い。 自分の時間を切り売りして、相手に奉仕することこそが「誠実」だ。

そう信じていた。 いや、信じようとしていたのだと思う。

かつての私は、「動画講座」や「オンライン指導」を売っている同業者を軽蔑していた。

「手を使わずに金を稼ぐなんて、治療家としての魂を売ったのか?」 「患者さんの体を触りもしないで、何が治療だ」

彼らがSNSで成功を見せびらかすたびに、私は自分のボロボロの白衣を見つめ直し、 「私は違う。私は本物だ」と自分に言い聞かせてきた。

私の価値は、この手にある。 この指先の感覚にこそ、全てがあるのだと。

だが、その誇り高き「誠実さ」が、実はただの「傲慢」だったと気づかされたのは、ある雨の日のことだった。

【転換:青い光との対峙】深夜、デジタルへの葛藤

きっかけは、些細な不注意だった。 通勤途中の階段で足を滑らせ、とっさに手をついた瞬間、手首に激痛が走った。

「折れているかもしれない」

プロとしての直感が、最悪の事態を告げた。 病院の待合室で、私は震える左手を押さえながら、スマホのカレンダーを見つめていた。

今日、予約が入っている7人の患者さん。 明日、明後日の予約。 来週の定期検診の約束。

そのすべてに、キャンセルの電話をかけなければならない。

「申し訳ありません、怪我をしてしまいまして……」

電話の向こうで、患者さんが落胆する空気が伝わってくる。 「そうですか……先生、お大事にしてくださいね」

優しい言葉が、逆に胸をえぐる。

その言葉の裏にある、 「じゃあ、私のこの痛みは誰が取ってくれるの?」 という無言の叫びが聞こえるようだった。

家に帰り、誰もいない部屋で天井を見上げた時、本当の恐怖が襲ってきた。

痛みのせいではない。 「私の機能が停止した瞬間、患者さんも路頭に迷う」という事実に対する、底知れぬ恐怖だ。

私は、自分の体を資本にする「職人」だった。 私が動かなければ、1円も入らない。 そして、誰も救われない。

その時、ふと、私が軽蔑していたあの「不誠実な」治療家の顔が浮かんだ。

彼は、オンラインでストレッチ動画を販売し、会員制のコミュニティを持っていた。 彼がもし私と同じように手首を折ったら、どうなるだろうか?

彼は、焦らないだろう。

彼が寝ている間も、彼の「分身」である動画が、患者さんにセルフケアを指導し続ける。 彼のオンラインサロンでは、スタッフや過去のアーカイブが、患者さんの悩みに答え続ける。

彼の収入は止まらない。 そして何より悔しいのは、

「彼の患者さんは、彼が不在でも救われ続けている」

という事実だ。

【解決:届く遺言】患者の日常に寄り添う「分身」

私の患者さんはどうだ? 私が倒れた瞬間、痛みに耐えながら、他の治療院を探している。 あるいは、「先生が復帰するまで待ちます」と言って、痛みを我慢し続けている。

どちらが、本当に「誠実」なのだろうか?

自分の美学に酔いしれ、リスク管理を放棄し、自分が倒れたら患者共倒れになる私か。 それとも、泥臭い「金儲け」と罵られようとも、自分がいなくても患者を守れる仕組みを作り上げた彼か。

私は、「清貧」という言葉を盾にして、責任から逃げていただけだったのだ。 「お金の話をするのは汚い」 そう思い込むことで、自分のビジネスの脆さから目を背けていただけだった。

本当の「汚さ」とは、お金を稼ぐことではない。

「自分に何かあったら、患者さんを守れない」という状態を放置し続けること。 それこそが、プロとして最も汚く、不誠実な態度ではないのか。

涙が止まらなかった。 情けなくて、悔しくて、そして怖くて。

あの夜、私は誓った。 もう二度と、自分の体を言い訳にしないと。

私は、パソコンを開いた。 慣れない手つきで、キーボードを叩き始めた。

今まで患者さんに口頭で伝えていたアドバイスを、文字に起こした。 痛みが引かない時の対処法、再発を防ぐための生活習慣。

私の頭の中にある「資産」を、すべて形に残そうとした。 これは商品ではない。患者さんへの「ラブレター(遺言)」だ。 もし明日、私が死んでも、この知識だけは患者さんの手元に残るように。

それを「デジタル商品」として患者さんに提案した時、返ってきたのは意外な言葉だった。

「先生、こういうのが欲しかったんです!」 「家で一人で痛くなった時、これを見ると安心します」 「先生がそばにいてくれるみたいです」

私は、大きな勘違いをしていた。 患者さんが求めていたのは、私の「手」だけではなかった。 私の「知識」であり、「安心」であり、「導き」だったのだ。

それをデジタルというパッケージにして渡すことは、決して「手抜き」ではない。 むしろ、物理的な制約を超えて患者に寄り添う、究極の「誠実さ」の形だったのだ。

そして、その対価として得られる収益は、私自身の精神を安定させてくれた。 「もし何かあっても、家族も患者さんも守れる」という安心感が、皮肉にも、日々の施術の質を劇的に向上させた。

焦りや不安が消えた私の手は、以前よりもずっと温かく、患者さんの深層に届くようになった気がする。

【未来:真の誠実さ】不安から解放された柔らかな施術

今、あなたに問いたい。

あなたはまだ、「清貧」という名の呪いに縛られていないだろうか? 「手技一本で食っていく」というプライドが、いつかあなた自身と、あなたを信じてくれる患者さんを傷つける凶器になる可能性に、気づいているだろうか?

お金を稼ぐことを恐れないでほしい。 仕組みを作ることを、ズルいと思わないでほしい。

あなたが稼ぐことは、ただの贅沢のためではない。 あなたが倒れた時、あなたを信じてついてきてくれた人たちを守るための、唯一の「命綱」なのだから。

治療家の仕事は、施術ベッドの上だけで完結するものではない。 患者さんの人生そのものを支える覚悟があるのなら。

あなたのその知識を、その経験を、そしてその愛を。 まずはスマホで動画を一本撮るだけでいい。 「形」にして残す勇気を持ってほしい。

それが、本当の意味で「命を救う」ということなのだと、今の私なら胸を張って言える。

【問いかけ】 もし明日、あなたがベッドから起き上がれなくなったとしたら。 あなたの患者さんは「路頭に迷う」でしょうか? それとも「あなたの分身に救われる」でしょうか?

正直な今の現状を、コメントで教えてください。 (あなたの覚悟を、私は否定しません)

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    黒岩倖光(くろいわ ゆきみつ)

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