「先生、家でどうすればいいですか?」その質問に無料で答えているうちは、あなたは永遠に“ただのいい人”で貧乏なままだ。
「先生、お風呂上がりに何をしたらいいですか?」 「枕はどんなのがいいですか?」 「この痛み、冷やすべきですか? 温めるべきですか?」
施術が終わった後の、会計待ちの時間。 あるいは、患者さんが靴を履いている、あの帰り際の数分間。
あなたは、この質問にどう答えているだろうか?
かつての私は、満面の笑みで答えていた。 「あ、それはですね、ここをこう伸ばして……」 身振り手振りを交え、時には解剖図まで持ち出して、丁寧に、熱心に、そして「無料」で解説していた。
患者さんは「へぇ〜! 勉強になります! ありがとうございます!」と嬉しそうに帰っていく。 その笑顔を見て、私は「今日もいい仕事をしたな」と充実感に浸っていた。
私は自分を「親切で誠実な治療家」だと信じていた。 金儲け主義の他の院とは違う、患者さんの利益を第一に考える善人だと。
だが、それは間違いだった。 致命的な、経営的な自滅行為だった。
私は「善人」なんかじゃなかった。 ただの「自分の価値を安売りする、臆病な浪費家」だったのだ。
ある雨の日のことだ。 予約がキャンセルになり、ぽっかりと時間が空いた院内で、私はふと電卓を叩いて青ざめた。
今月の売上、ギリギリだ……。 体の節々は悲鳴を上げている。指は変形しつつある。 朝から晩まで、休憩なしで体を酷使して、それでも手元に残るお金はこれだけか?
その時、ふと、昨日患者さんに話した「無料アドバイス」の内容を思い出した。 「腰痛を劇的に改善する、寝る前の3分ルーティン」。
あれは、私が数百万の投資と、10年の臨床経験を経て編み出した、極めて効果の高いノウハウだ。 それを私は、立ち話のついでに、タダで喋ってしまった。
もし、あれを「商品」として売っていたら? もし、あの知識を動画にまとめ、「自宅ケアプログラム」として提供していたら?
私はハッとした。
私は、スーパーマーケットで言えば、最高級のステーキ肉を「試食コーナー」で全部配ってしまっているようなものだ。 「美味しいでしょ? 良かったらまた来てね」と言って、肉を無料で配り、客は満腹になって帰っていく。 そして私は、空っぽの冷蔵庫の前で「なぜ売上が上がらないんだ」と嘆いている。
なんて愚かなんだ。
さらに、もっと残酷な現実に気づいた。 私が無料で教えたあのアドバイス、患者さんは本当に実践しているだろうか?
答えは「NO」だ。
次に来院した時、「先生、教わった通りにやりました!」と言う患者さんは、10人に1人もいない。 「あ、忙しくて忘れちゃいました」「やり方、なんでしたっけ?」と笑って誤魔化されるのがオチだ。
なぜか? 「無料」だからだ。
人は、痛みを伴わない情報(対価を払っていない情報)に、価値を感じない。 「タダで聞いた話」は、駐車場の車に乗り込む頃には忘れている。
つまり、私は「親切心」で無料で教えていたつもりだったが、 結果として、患者さんに「実践しない言い訳」を与え、彼らの治癒を遅らせていただけだったのだ。
無料で教えることは、優しさではない。 お互いにとっての「損失」でしかなかった。
その事実に打ちのめされた私は、恐怖に震えた。
私は今、自分の「肉体労働(施術)」だけを商品にしている。 60分揉んで、6,000円。 それが私の限界だ。
もし明日、私が交通事故で腕を骨折したら? もし、過労で倒れて入院したら?
その瞬間、私の収入は「ゼロ」になる。 私がベッドで寝ている間、誰が家族を養う? 誰が院の家賃を払う?
誰も払ってくれない。 私が積み上げた「知識」や「ノウハウ」は、私の頭の中に閉じ込められたまま、一銭も生まないまま、私と一緒に腐っていくだけだ。
「先生、家でどうすればいいですか?」
その質問は、実はチャンスだったのだ。 患者さんが「お金を払ってでも知りたい」と思っている、喉から手が出るほど欲しい「解決策」への入り口だったのだ。
私はその日から、変わる決心をした。 「先生、家でどうすればいいですか?」と聞かれたら、こう答えることにした。
「〇〇さん、その症状にぴったりの、自宅でできる特別なケア方法があります。 口で説明すると忘れちゃうし、間違ったやり方だと逆効果なので、私が解説した動画プログラムを用意してあるんです。これは、家に持ち帰れる『処方箋』です」
「処方箋」。 そう呼ぶだけで、私の心のブロックは消えた。 薬にお金を払うのが当たり前なら、治すための情報にお金を払うのも、プロとして当たり前のことだ。
最初は怖かった。 「守銭奴」だと思われるのが怖かった。
しかし、患者さんの反応は驚くべきものだった。
「えっ、本当ですか! ぜひ欲しいです!」 「忘れないで見返せるのが欲しかったんです!」
彼らは喜んで対価を支払ってくれた。 そして何より、お金を払った患者さんは、「元を取ろう」として真剣に動画を見て、毎日実践してくれた。 結果、治りが圧倒的に早くなり、さらに感謝されるようになった。
今、私の院には「もう一人の私」がいる。 それは、私が寝ている間も、休日で子供と遊んでいる間も、患者さんにアドバイスをし続け、売上を上げ続けてくれる「デジタルコンテンツ」という分身だ。
私がもし倒れても、この分身たちが、私の家族を守ってくれる。 その安心感が、私の施術に余裕をもたらし、結果として院全体の質を高めている。
先生、あなたに言いたい。
「無料で教えるのが誠実さ」という呪いから、今すぐ解き放たれてほしい。 あなたのその頭の中にある知識は、あなたが命を削って手に入れた「財産」だ。
それを安売りしてはいけない。 タダで配ってはいけない。
「先生、どうすればいいですか?」
次にそう聞かれた時、それが運命の分かれ道だ。 そこでまた「いい人」の仮面を被って、資産をドブに捨てるのか。 それとも、プロとして「価値ある処方箋」を提供し、患者さんの本気スイッチを押すのか。
選択肢は、あなたの目の前にある。 あなたの知識に、正当な値段をつけろ。 それが、真の意味で患者さんを救う、プロの責任なのだから。
【問いかけ】 正直に教えてください。 あなたは今日、いくら分の情報を「タダ」で配ってしまいましたか?
自分への戒めとして、コメント欄に「今日は〇〇円捨てました」と書き込んでみてください。 その痛みが、明日からのあなたを変えるはずです。